イチ鉄子のダメダメ放浪日記。

SYSTEM-R

栄枯盛衰。 【JR北海道 石勝線夕張支線】

炭鉱の街から観光の街へ。

 
旅行日:2010年03月21日

2010年春分の日の連休は、北海道の未乗区間に行きました。
地元も雪でしたが、北海道も雪です。
加えて発達した低気圧の影響により、日本全土が強風に見舞われ
交通機関は運休や遅延を余儀なくされました。

低気圧が北上して接近して来るにも関わらず
土曜日夜に札幌入りし、翌朝特急を利用して新夕張駅へ移動。
この時点で、道内の乱れは殆どありませんでした。

新夕張駅から夕張駅行きのキハ40系に乗車。
普通の地元客が多く、鉄は私を含めて2〜3人でした。
しかし夕張駅へ向かう途中も、列車へ吹き付ける風の音が
車内にも聞こえる程になり…夕張駅へ降り立った時には
目が開けられない程の強風となっていました。

新夕張駅。

石勝線は南千歳〜新得間の132.4km、全線単線の路線。
この新夕張駅から夕張駅へと向けて、16.1kmの夕張支線が伸びています。
しかし歴史的に夕張支線部分は、1892年に北海道炭礦鉄道により
運炭路線として建設されたのが始まりで、その後鉄道国有法により買収。

石炭が重宝された時代、最盛期には11万人以上居た住民も
相次ぐ炭鉱の閉山等で人口は流出し、現在では1万人少々とのこと。
立派な集合アパート群が立ち並ぶも、閑散とした雰囲気。
だけどこの雰囲気も、多分他人事ではないはず。

現在、夕張支線を走行する列車は9往復(臨時列車は除く)。
普通列車のみが運行され、ワンマン運転が行われている。
運行頻度はおよそ2〜4時間に1本程度で、途中駅に交換設備は無い。
新夕張駅を出発すると、谷合を終点目掛けて列車は上っていく。

 

 

■新夕張駅で特急スーパーとかちから数分で乗り換え
■新夕張駅名板

夕張支線の駅は新夕張-沼ノ沢-南清水沢-清水沢-鹿ノ谷-夕張。
各駅停車の普通列車で全線乗車しても30分足らずの路線です。

夕張からの折り返しも、大半が10分以下の待ち合わせ時間で発車。

新夕張駅を出発直後から、国道452号線が寄り添い
清水沢駅付近から夕張駅までは、道道38号線が寄り添っている。
それらの道路を走る車両数は多いが、夕張を素通りしたり
著名観光地だけ立ち寄って、走り去ってしまう人々が多いようだった。

時間に余裕があれば何駅か乗下車したかったし
徒歩で隣駅訪問も考えましたが…何しろ天候が悪化の一途。

路線乗車だけなら、比較的簡単なのですが
新夕張駅へ戻っても接続列車の無い時間帯もあります。
札幌方面等のバスも結構走っているようでしたが
丁度良い時間の便も無かったので諦めました。
そこで1本列車を見送って、夕張市街地を回る事にしました。
■石勝線本線と夕張支線

新夕張駅から1つ目の駅、沼ノ沢駅(下画像参照)。
こちらの駅では何人かが乗り降りしていました。
かつては東方向へ北海道炭礦汽船真谷地炭鉱専用鉄道が分岐。
そのため多くの側線を有していた様子が伺えます。

現在はそれらの側線も剥がされ、1面1線の無人駅となっていますが
事務所部分には洋食中心の「レストランおーやま」さんが入居しています。
オーナーは帝国ホテルで修業した方だそうで、
夕張特産の長芋を使ったお料理等、地元の素材を生かした
創作料理が提供され、賑わっているそうです。
こちらのお店にも立ち寄りたかったのですが…断念 orz

2つ目の駅は南清水沢駅(画像なし)。
簡易委託駅(5:45〜17:00)で、高校生位の方々が利用していました。
 
■サボの表示が何だか懐かしくて嬉しい
■沼ノ沢駅
■旧事務室部分にレストランおーやまが入居

3つ目の駅が清水沢駅(左画像参照)。
こちらは新夕張駅管理の社員配置駅(平日のみ・7:10〜14:00)。
かつては交換設備のある駅だったそうですが
残念ながら現在は 単式ホーム1面1線となっており
駅舎からは長いアプローチが伸びていました。

この駅も三菱石炭鉱業大夕張鉄道線等複数の路線が接続し
多数の側線を有して、構内は石炭を満載した貨物列車等で
大いに賑わっていたようです。

4つ目の駅は鹿ノ谷駅(画像なし)。
北海道炭礦汽船の全盛期にはこの周辺が高級住宅地となっており
会社幹部とその家族が住んでいたそうです。
また夕張鉄道線の接続駅でもありました。
■清水沢駅
■終着・夕張駅
■移転を重ねた現在の夕張駅は3代目
■ホテルマウントレースイ側からの夕張駅全景
■道道側からの夕張駅とマウントレースイ建物

新夕張駅から5つ目、終着・夕張駅
単式1面1線の無人駅ですが、簡易委託駅となっており
乗車券等は目前のリゾートホテル・マウントレースイのフロントで
取り扱っているそうです。

訪問日はホテル裏手のマウントレースイスキー場で
小学生のスキー大会が開催されていたため
スキー場は勿論、ホテル周辺にも家族連れが沢山いました。

夕張駅は主要産業の変化に伴い、経路を短縮する形で
これまで2度の移転がありました。
初代駅舎は市の奥地・現在の石炭の歴史村付近に
石炭運び出しを目的として設置されていました。
旧駅舎も暫く活用されていたらしいのですが、2006年解体された模様。
 
■夕張駅駅名標
■吹きさらしの通路は真冬は寒い…
■夕張夫婦がお出迎え?
★印は下に掲示している画像の撮影位置です
■↑画像にカーソルを合わせると、散策経路が表示されます
★1=石炭博物館等の施設は4月まで休業…orz
★2=現在の夕張市役所周辺の風景

2代目駅舎は現在の夕張市役所付近にあったらしいので
市街地を散策しつつ、路線跡や駅跡を探すことに。

現在の3代目駅舎にはイタリアンカフェ「ルーチェ・ソラーレ」
夕張市観光案内センターが入居していました。
地図でも貰えればそれで良いかな、と思っていたのですが
観光案内センターの女性がとても親切に対応して下さり
周辺のお勧め観光ルートの案内の他、荷物も預かって下さいました。
お陰で手ブラで散策が出来ました。

「色々な映画の看板が飾られているから、見て回るだけでも楽しめる」
「夕張鹿鳴館も入館料は取られるけれど、食事にお勧め」
「2km位あるけれど、ぐるっと回っても小一時間かな」
「貴女は若いから、歩きで回るのを勧めても大丈夫かと思って(笑)」
★3周辺=名画の絵看板があちこちにありました
★3周辺
★3周辺


気温は氷点下、強風吹く中の散策…少々苦行風味
でも看板を探して歩き回っていると、身体も心も温かくなるような。
…顔面は非常に冷たいけれどww

上の大きな地図の通り、ぐるりと回ってみました。
確か観光案内センターの女性曰く「看板は90枚ある」と云う事でしたが…。
流石に全部を撮影して回るのは時間も掛かる。
ので、目立ったものや気になったものを抜粋してご紹介。

私自身観たことの無い作品が多いけれど
題名は知っている作品や内容も何となく知っている作品が多かった。
50代・60代の方なら懐かしくて嬉しい光景なのかも…?

 
★3周辺
★3周辺=映画本編がどんな内容なのか気になってくるww
★3周辺
★3周辺=倍賞さんが欠席者みたいに小窓で描かれている(笑)
★3周辺=郵便局にまで看板が…
★3周辺=仏壇店の看板の方がインパクト大
★3周辺=キネマって忌み言葉とも言われていますね
★3周辺=健さんカコイイ
★3周辺=黒澤作品ファンには堪らない?

山間に市街地が広がっているので、傾斜のある場所に足場を設けたり
斜面を削ったりして平地を作り、建物が建てられている感じ。
結構な高台の上にまで住宅があったりする。
最盛期には所狭しと民家や炭鉱住宅が立ち並んでいたと云う。

しかし昭和30年代から40年代に、炭鉱は相次いで閉山となり
近年は市の財政破綻もあり、人口は減少する一方。
人口の年齢別内訳を見ても、他市町村に比べ50代以上の比率が高い。

何か少しでも明るい要素になればと、様々な方面で奮闘している
住民の皆さんの熱意を随所に感じました。

今回、スキー場以外はほぼシーズンオフな状況での訪問でしたので
夏季等雪の無い季節には、人々で賑わう街であって欲しい。

駅舎も現在地に短絡せず、初代駅舎付近まで線路があったら…
と個人的は思うのですが。せめて市役所付近の2代目駅舎の位置で。

車ばかりが行き交う道をてくてく歩いている間、そう考えていました(笑)
実際、現在の駅を中間駅とする案もあったそうですが
経済的な事情等から現在の形となった模様。

…加工とかしてから気付いたのですが、上の夕張市街地の地図と
実際の道路状況が、結構違っているんですけど(滝汗)
と云う訳で、地図の内容は参考程度に留めて下さいませ〜。
 
★4=志幌加別川
★5周辺=坂道を上って行くと段々雪の壁が高くなりました
★5周辺=開館していたら行きたかった…
★5周辺=入口が雪で埋もれてたため閉鎖された施設なのかと思った(苦笑)
★5周辺=徒歩での来店は想定していないようです(´・ω・`)
★5周辺=内部で社員の方々が働いている姿も見えました
★5=直営ショップでお土産品の買い物と休憩を
★5周辺=コーヒーがサービスで付いてきました
★5周辺=夕張生メロンパン
★6=多分この付近が2代目夕張駅舎跡地
★6周辺=路線跡である事が何となく分かる
■500円でお腹一杯になるランチが大人気とか
■ランチ開始早々に満席となっていました

夕張市街地を一回りして夕張へ戻って来た頃には
丁度イタリアンカフェ「ルーチェ・ソラーレ」の開店時間。
歩き回ってお腹が減った事ですし、こちらで昼食を戴きました。

家族・グループでの利用が多いせいか、一人客はカウンター席へご案内。
一人客ばかりぎゅうぎゅうに詰めて座っていると、ちょっと居心地悪い(笑)

こちらの人気の秘密は、何と言っても500円ランチバイキング。
茹で立てパスタや窯で焼いたピザの他に、サラダやお惣菜等もあり
本当にお腹いっぱいになりました。
ランチ営業時間内でも、規定量が全て提供されると終了、という感じらしい。
節約旅の方にも、こちらのお店はお勧めです!

■ピザやパスタ等が次々と提供されていました  

残念ながら冬季休業の施設も結構多く、夏季であればまた全然違う
夕張の表情を見ることが出来るのではないかと思います。

沿線各駅の過去と現在の姿も気になりますし
昭和40年代まで存在した各炭鉱関係の私鉄の路線跡も
興味を引くところです。いつか是非、再訪したい街です。

三弦橋も水没する運命であるなら、まだ完全体である内に
見に行きたいのだが…。 ※旧下夕張森林鉄道線夕張岳線の橋梁


全然列車や市街地について、動画の撮影をしていなかったので
せめて、当日は本当に酷い天気だったと分かる映像を…(笑)
 

   
<長文&駄文にお付き合い下さり、ありがとうございました!>
 
※記載されている情報は2010年04月現在のものです
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