三江線は江津駅(島根県江津市)と三次駅(広島県三次市)を結ぶ
JR西日本地方交通線。
陰陽連絡線として1930年代から建設が開始されたものの
全通したのは1975(S50)年。
既に地域間の移動は、道路利用が中心になっていました。
また、線形から言っても短絡路線とは言えず…むしろ迂回路状態。
陰陽連絡路線としての機能を果たすどころか
全通列車も少なく、利用者は専ら地域住民の方々。
沿線人口も多いとは言えない地域で、利用者の絶対数が少ない…。
5月連休、山陰から山陽へ抜ける為に乗車しました。
江津から十数人が乗車し、その大半の乗客が石見川本駅で下車。
浜原駅での乗り替え以降、三次到着まで貸し切り状態でした。
同じ島根県内にある木次線(特に出雲横田〜備後落合間)と共に
超閑散路線であるため、度々路線廃止の話が浮上しては
沿線道路未整備という理由によって、現状維持の状態が続いています。
実際に乗車してみて、地図と照らし合わせてみると
「え?これ県道?」と思うような狭さの道路が川沿いにへばりついていたり。
中国地方最大の河川である江の川の水量はとても豊富で
その流域には平地が乏しく、僅かな土地に道路が通されて
家々が建てられている感じがしました。
三江線についても、大半が江の川に沿うように線路が敷かれており
直線距離では江津〜三次は約60km程度なのに対し
「へ」の字型に迂回しているお陰で、全線108.1kmとなっている。
日本鉄道建設公団が建設した浜原〜口羽間を除き
最高速度は65km/h、表定速度で言えば30km/hとも…。
■三江線の大まかな駅位置を記載してみました | |||||||
■起点・江津駅 | ■江津駅構内、奥が出雲市(山陰本線)・三次(三江線)方面 |
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■江津駅周辺図 | ■山陰本線の時刻表と比べて、三江線の方は…(^_^; |
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山陰本線で江津駅まで来たものの、三江線の接続時間が結構あり 江津駅周辺案内を見て、駅周辺をウロウロしていました。 江津の街自体は結構大きな町なようで、人々や車の往来も多く 天気も相まってか、寂しい雰囲気は感じられませんでした。 江津出発以降、山陽側へ抜け切る夜23時頃まで 食料を入手する機会は無いと思われた為 地元のスーパーまで歩いて行き、お土産品やら食料品を確保。 海岸線まで行きたかったけれど、実際は高低差が結構あり 時間的に余裕が無かったので、諦めました。 周辺図上の「港まで延びている引き込み線?」が とても気になりましたが…(笑) どうなんでしょう? |
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■キハ120形単行、ワンマン運転が基本です |
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■画像にカーソルを載せると別画像 | ■川戸駅 |
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江津駅を出発した三江線の線路は江の川手前で大きく右にカーブし 山陰本線の線路へ別れを告げます。 以後、暫くは左手に江の川を見ながらの旅となりました。 たっぷりの水量を湛えた江の川。 沿線土壌に対する恩恵は無きに等しかったようですが、鉄道が無く また道路状況も良くない時代には、船による交通があったようです。 この時・既に夕刻、山間の路線では日暮れも早い。 夕暮れの色合いにより、幻想的・かつどこか懐かしいような光景が 車窓に広がっていました。 |
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■因原駅…何故、洗濯機??? | |||||||
■簡易委託駅である石見川本駅 | ■石見川本駅で列車交換 |
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■一文字駅名な竹駅 | ■江の川が色んな表情を見せてくれます |
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■Nice Bridge. | ■キハ120形の車体に、夕陽が反射してしまった… |
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■のんびりとした雰囲気の明塚駅 | ■石見簗瀬駅 |
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江津を出発した列車は、コトコトと江の川上流へと進みます。 乗車したのが三次へ抜ける最終列車であり、 残念ながら途中下車は出来ませんでした。 なので、貸切をいいことに列車内をウロウロして、 周囲が暗くなる時間までは、車内から出来るだけ色んなものを撮影。 帰宅してから見たら、デジカメのメモリには 自分でも訳が分からない画像が一杯となっていました(笑) 右画像、明塚〜粕淵間にある「第一江川橋りょう」の位置には、 かつて「粕淵第一鉄橋」が掛かっていたそうです。 1972(S47)年7月の豪雨による大洪水で、三江北線(当時)の各所は寸断。 再開するまでの約2年半、この橋の手前に「野井駅」が設置され 利用者は江の川を船で渡っていたとか…。 |
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■第一江川橋梁/カーソルを載せると別画像 |
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■粕淵駅も簡易委託駅のようです | ■浜原駅はかつて、三江北線の終着駅でした |
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■浜原駅駅舎 | ■浜原駅駅名標 |
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■旧タイプの駅名板 | ■乗車して来た車両はここで折り返し、江津行きに |
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■三江線全通記念の石碑 | ■浜原駅周辺には民家が結構ありました |
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かつて「三江北線」の終着駅であった、浜原駅へ到着。 残念ながら乗車した列車は三次までの直通列車ではなかったため この駅で折り返し三次行きとなる列車を待ちました。 この駅から先、口羽駅までは日本鉄道建設公団が建設した路線。 高規格で直線的に作られた路線は、最高速度も85km/hにアップ。 乗り心地も異なります。 「秋田内陸縦貫鉄道」と似たような境遇ですね。 ほどなくして、浜原折り返しの列車が到着し、数人が下車しました。 彼らは駅改札口を出て、浜原の集落へと消えて行きました。 折り返しの三次行きで浜原駅から県境越えをする乗客は 私の他には居ませんでした。 |
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■駅ホームのツツジが綺麗でした | |||||||
■折り返し三次行きとなる列車が到着 | ■浜原駅時刻表 |
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島根県側・江津〜浜原間、広島県側・口羽〜三次間には それぞれ1日5往復が設定されていますが 浜原〜口羽間については4往復と少なくなります。 日中長時間に渡って運行の無い時間帯もあります。 2006(H18)年7月、豪雨の影響により沿線38箇所で土砂崩れが発生し 11か月程全線運休・バスもしくはタクシーでの代行運転を実施。 沿線風景の中には、まだ新しい修復跡や法面工事跡がありました。 三江線は江の川に沿って、ほぼ見下ろすような形で走っていますが 所々では高く築かれた堤防で、江の川が見えない状態でした。 これだけの水量も豊富な河川ですので 前述の災害の他にも時折、大水害に見舞われているのでしょう…。 |
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■三次行き車内より撮影 |
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■近くには潮温泉もある潮駅 | ■鏡のようです |
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■宇都井の集落 | ■宇都井駅駅名標 |
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三江線の中で、一番立ち寄りたかった駅は「宇都井駅」。 宇都井の集落の頭上・約30mを通り、山を貫いている三江線。 ここは、トンネルの合間の、谷筋を渡る高架上に設けられた駅です。 ホームへ上り、列車に乗る為には、団地の階段か?と思うような 116段の階段を上らねばならない。 目にした宇都井の集落は、予想していたよりも家数の多い地区でした。 トンネルから抜けて駅へ停車し、またすぐに発車。 列車はまたすぐにトンネルの中へと吸い込まれます。 また、三江線に訪れた時には、宇都井駅に寄ってみたいです! |
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■下車したかった… | |||||||
■式敷駅駅名標 | ■終点、三次駅に到着 |
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宇都井駅を過ぎた後、程なくして完全に暗くなってしまったため その後は夕食としてゆっくり駅弁を戴きました。 それでも駅に到着するたびに、 駅名標とか撮影出来るものも探してましたけど(笑) そして無事に、終着・三次駅へ到着。108.1km、三江線完乗です。 三次では芸備線ではなく、福塩線に乗り換え。 …久々に複数の人の乗車する列車に、乗車しました(笑) 日没時間となってしまったために、 半分近く景色等を見る事が出来ず残念でした。 本数や位置から言っても、簡単に訪れる事の出来る路線ではないけれど 三江線にはまた機会を作って、乗車してみたいです。 |
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■江津からは1890円 |
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■駅スタンプ・江津駅 | ■駅スタンプ・三次駅 |
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<長文&駄文にお付き合い下さり、ありがとうございました!> |
design: [pondt]様よりお借りしました